西川甚五郎邸の庭に一つの道標があります。
ご存じのとおり、「道標」は街道の分岐点等に立てられ、目的地までの方向や距離、道順を示すもので、旅人にとっては無くてはならないものです。そんな大切な道標が個人宅にあることが不思議ではありませんか?
その謎を解くカギは12代目西川甚五郎の日記(下の写真)にありました。12代目は30余冊の日記を遺していて、それらは当時のことが窺い知れる貴重な史料となっています。
昭和2年5月25日の日記には次のように記載されています。「午後1時より八幡町役場にて八幡神社鳥居前角にありし道志るべ立石 道路標識 高5尺2寸 巾8寸角 壱基 『右京道/左かんおん寺/長命寺道』 享保2年2百年前の石 右本日入札により 金72円50銭落札により買受たり」
※注: 高5尺2寸=約157CM、巾8寸=約24CM
現代に生きる者の感覚として”公共物と思える”道標が、売買や入札の対象となることは考え難いのですが、昭和2年当時は一般的なことだったのですね。
